【2025年最新版】Copilot Studio完全ガイド｜使い方から料金・活用事例まで徹底解説

重要なポイント：Copilot Studioは、独自のAIエージェントを「作成するためのツール」です。一方、Microsoft Copilotは「使うためのツール」です。Copilot Studioで作成したエージェントは、特定のナレッジやデータを指定して、そのデータをもとに回答を生成します。例えば、社内の申請手順を学習させることで、社内特有の質問に適切に回答できる独自のAIアシスタントを作成できます。

1. 社内ヘルプデスクの自動化

IT部門や人事部門への定型的な質問を自動化することで、担当者の負担を大幅に削減できます。

• パスワードリセット方法の案内
• VPN接続のトラブルシューティング
• 有給休暇の残日数確認
• 経費精算の方法説明
• ソフトウェアのインストール申請

2. 顧客サポートとFAQ対応

24時間365日、一貫した品質でサポートを提供できます。

• 製品の使い方ガイド
• トラブルシューティング支援
• 注文状況の確認
• 返品・交換手続きの案内
• 営業時間や店舗情報の提供

3. 業務プロセスの自動化

Power Automateとの連携により、エンドツーエンドの業務プロセスを自動化できます。

• 各種申請ワークフローの起動
• データベースの自動更新
• レポートの自動生成と配信
• 在庫管理と発注処理
• 会議室予約とスケジューリング

利用例での試算

従業員150人の組織で、1日あたり平均して以下のような利用があると仮定します。

• 生成AI回答：100人×4回＝400回（800 Credits）
• 定型応答：50人×2回＝100回（100 Credits）

1日あたりの消費：900 Copilot Credits
1ヶ月（20営業日）：18,000 Copilot Credits

この場合、1パック（月額200ドル）で十分に運用できます。

重要：チャットボットを利用するエンドユーザーには、特別なライセンスは不要です。公開されたチャットボットにアクセスできるすべてのユーザーが利用できます。これにより、社内の全従業員や外部の顧客に対して、追加コストなしでサービスを提供できます。

ステップ1：サインインと環境設定

1. Copilot Studio公式サイト（https://copilotstudio.microsoft.com/）にアクセス
2. 「無料で試す」または「サインイン」ボタンをクリック
3. 職場または学校のMicrosoftアカウントでサインイン
4. 国/リージョンで「Japan」を選択
5. 環境のセットアップを待つ（5〜10分程度）

ステップ2：新しいエージェントの作成

1. 左側のナビゲーションから「作成」を選択
2. 「新しいエージェント」をクリック
3. エージェント名を入力（例：「社内問い合わせボット」）
4. 説明を記載（エージェントの目的を明確に）
5. 言語を選択（日本語を選択可能）
6. 指示（Instructions）を設定：
   • エージェントの役割を明確に定義
   • トーン（丁寧、フレンドリーなど）を指定
   • 回答時の制約事項を記載
7. 「作成」ボタンをクリック

ステップ3：ナレッジソースの追加

1. 「ナレッジ」タブを選択
2. 「追加」ボタンをクリック
3. データソースの種類を選択：
   • 公開Webサイト：URLを入力してサイトをクロール
   • ファイルアップロード：PDF、Word、PowerPointなどをアップロード
   • SharePoint：社内ドキュメントライブラリを指定
   • OneDrive for Business：クラウドストレージのファイルを活用
4. データソースの詳細を設定
5. 「追加」をクリックして保存
6. インデックス作成の完了を待つ（数分〜数十分）

ステップ4：トピックとフローの設定（オプション）

特定の質問に対して詳細な制御が必要な場合、トピックを作成します。

1. 「トピック」タブを選択
2. 「新しいトピック」を作成
3. トリガーフレーズを設定（例：「申請方法を教えて」）
4. 会話フローを設計：
   • 質問ノード：ユーザーに追加情報を聞き取る
   • 条件分岐：回答に応じて異なる対応を実施
   • メッセージノード：情報を提示
   • アクションノード：Power Automateフローを呼び出し

ステップ5：テストと公開

1. 画面右側のテストパネルで動作確認
2. 様々な言い回しでテスト
3. 回答が適切か確認し、必要に応じて調整
4. 「公開」ボタンをクリック
5. 公開チャネルを選択（Teams、Webサイトなど）
6. アクセス権限を設定
7. 公開を確定

ポイント1：明確な目的設定

エージェントの役割と範囲を明確に定義します。

• 対象ユーザー：誰が使用するのか（社内/社外、部門など）
• 対応範囲：どのような質問に答えるのか
• 対応しない範囲：何には答えないのか
• エスカレーション基準：いつ人間に引き継ぐか

具体例として、「人事部門向けの福利厚生FAQ対応ボット」なら、対応範囲を「有給休暇、健康保険、退職金制度など福利厚生に関する質問のみ」と明確にし、給与計算や人事評価など他の人事業務は対象外とします。

ポイント2：質の高いナレッジ整備

エージェントの回答品質は、ナレッジの質で決まります。

• 正確性：最新の正確な情報を提供する
• 構造化：見出しと階層を明確にする
• 簡潔性：1文1メッセージを心がける
• 網羅性：よくある質問を漏れなくカバーする
• 一貫性：用語や表現を統一する

例えば、マニュアルを登録する際は、「第1章 概要」「第2章 機能説明」のように明確な見出し構造を持つPDFを用意し、各セクションは簡潔な文章で記述します。

ポイント3：効果的なプロンプト設計

エージェントの「指示（Instructions）」で、回答スタイルを細かく制御できます。

• 役割の明確化：「あなたは〇〇の専門アシスタントです」
• トーンの指定：丁寧、フレンドリー、専門的など
• 回答形式：簡潔に、ステップバイステップになど
• 制約事項：提供しない情報、禁止事項を明記

具体例：「あなたは社内ITサポート担当です。社員からの質問に丁寧に回答してください。提供されたナレッジソースの情報のみを使用し、情報がない場合はITヘルプデスクへの問い合わせを案内してください。パスワードなどの機密情報は絶対に尋ねないでください。」

実際の精度データ

適切に設計・運用されたCopilot Studioエージェントは、高い回答精度を実現しています。

事例1：住友商事グループ – 社内業務効率化

背景と課題：

• グループ全体で数万人規模の従業員が存在
• 人事、IT、総務など各部門への問い合わせ対応に多大な時間を要していた
• 定型的な質問が大半を占め、自動化の余地が大きかった

実装内容：

• Microsoft Teams上で動作する社内問い合わせボットを構築
• 人事規程、IT利用ガイド、経費精算ルールなどをナレッジソース化
• Power Automateと連携し、申請ワークフローも自動化

成果：

• 定型的な問い合わせの約60%を自動で解決
• 担当部門の問い合わせ対応時間を大幅に削減
• 従業員は24時間いつでも必要な情報にアクセス可能に

事例2：ベネッセホールディングス – マーケティング支援

活用ポイント：

• 顧客データ分析支援：マーケティング担当者が自然言語で質問すると、Dataverseから必要なデータを抽出し分析結果を提示
• キャンペーン情報の即時提供：営業担当者が製品情報やキャンペーン詳細を素早く確認
• コンテンツ作成支援：過去の成功事例やテンプレートを検索し、新規コンテンツ作成をサポート

効果：

• マーケティング施策の立案時間を30%短縮
• 営業担当者の情報検索時間を削減し、顧客対応時間を増加
• 過去の成功パターンの再利用により、施策の成功率が向上

事例3：製造業 – 品質管理支援

事例4：金融機関 – 顧客サポート

実装の特徴：

• Webサイトとモバイルアプリの両方に同じエージェントを展開
• 口座開設、取引方法、手数料、ローン商品など幅広いトピックに対応
• Azure AD B2Cと統合し、ログインユーザーには個別化された情報を提供
• 複雑な質問や取引には、有人チャットへ自動エスカレーション

ビジネス成果：

• コールセンターへの問い合わせ件数を40%削減
• 顧客満足度スコアが15ポイント向上
• 24時間対応により、営業時間外でも顧客サポートを実現
• オペレーターは複雑な案件に集中でき、専門性が向上

トライアルの開始手順（3分で完了）

1. Copilot Studio公式サイト（https://copilotstudio.microsoft.com/）にアクセス
2. 「無料で試す」ボタンをクリック
3. 職場または学校のMicrosoftアカウントでサインイン
4. 国/リージョンを選択（日本を選択）
5. 利用規約に同意
6. 環境のセットアップが自動的に開始（5〜10分）
7. セットアップ完了後、すぐにエージェント作成を開始できます

ステップ1：目標設定とスコープ定義（1〜2週間）

• 解決したい課題を明確にする（例：問い合わせ対応時間の50%削減）
• 対象ユーザーと対象業務を特定
• 成功指標（KPI）を設定（解決率、満足度、コスト削減額など）
• プロジェクトチームを編成（プロダクトオーナー、開発者、コンテンツ担当者）

ステップ2：要件定義と設計（2〜3週間）

• 対応する質問の範囲を定義
• 必要なナレッジソースを洗い出し
• 既存システムとの連携要件を整理
• セキュリティ要件を確認
• ナレッジの整備計画を立案

ステップ3：開発とテスト（3〜4週間）

• エージェントのプロトタイプを作成
• ナレッジソースを整備・登録
• 必要なトピックとフローを構築
• Power Automateとの連携を実装
• 内部テストユーザーで動作確認
• フィードバックに基づき改善を繰り返す

ステップ4：パイロット運用（4〜6週間）

• 限定的なユーザーグループで本番運用開始（例：1部門、50名程度）
• 利用状況とフィードバックを継続的に収集
• 問題点を早期に発見・修正
• 運用マニュアルとFAQを整備
• KPIの達成状況を評価

ステップ5：全社展開と改善（継続的）

• パイロット運用の結果を評価
• 必要な改善を実施
• 段階的に対象ユーザーを拡大
• 継続的なモニタリングと改善サイクルを確立
• 定期的なレビューミーティングを実施（週次または月次）

Q1: プログラミングの知識がなくても使えますか？

A: はい、プログラミング知識は基本的に不要です。Copilot Studioはローコード・ノーコードプラットフォームとして設計されており、ドラッグ&ドロップの直感的な操作でエージェントを作成できます。ただし、Power Automateとの高度な連携や、カスタムAPIの統合など、より複雑な実装を行う場合は、ある程度の技術知識があると便利です。

Q2: 日本語以外の言語にも対応していますか？

A: はい、多言語対応しています。英語、日本語、中国語、スペイン語、フランス語、ドイツ語など、主要な言語をサポートしています。エージェント作成時に言語を選択でき、複数言語のエージェントを作成することも可能です。

Q3: Microsoft 365 Copilotとの違いは何ですか？

A: Microsoft 365 Copilotは、WordやExcelなどのアプリ内で動作する汎用的なAIアシスタントです。一方、Copilot Studioは、独自のAIチャットボットを作成するための開発プラットフォームです。企業固有のデータやプロセスに特化したエージェントを構築できる点が大きな違いです。

Q4: 無料で使い続けることはできますか？

A: 開発環境での使用に限り、無償のライセンスで継続利用可能です。ただし、本番環境でエンドユーザーに公開して運用する場合は、有料ライセンスが必要です。無料トライアルは60日間（延長で最大90日間）利用できます。

Q5: 料金はどのように計算されますか？

A: 料金は主にCopilot Creditの消費量に基づいて計算されます。基本的なプランは月額200ドル（約29,985円）で25,000クレジットが含まれます。生成AI回答は1回あたり約2クレジット、従来型の回答は約1クレジットを消費します。利用量が多い場合は、複数パックの購入や従量課金制の選択も可能です。

Q6: 作成したエージェントのメンテナンスは大変ですか？

A: メンテナンスの負荷は、エージェントの複雑さとナレッジの更新頻度によります。基本的なFAQボットであれば、月に数時間程度のメンテナンスで十分です。重要なのは、定期的なレビューサイクルを確立し、未処理の質問や低評価のフィードバックを継続的に改善することです。

Q7: セキュリティは十分ですか？

A: はい、Copilot Studioはエンタープライズグレードのセキュリティを提供しています。データは暗号化され、Azure Active Directory（Microsoft Entra ID）による認証、ロールベースのアクセス制御、監査ログなどの機能が標準装備されています。また、Microsoft Azure上で動作するため、ISO 27001、SOC 2などの各種コンプライアンス基準を満たしています。

Q8: オンプレミスのシステムと連携できますか？

A: はい、オンプレミスデータゲートウェイを使用することで連携可能です。Power Platformのオンプレミスデータゲートウェイを経由して、社内のデータベースやファイルサーバーにアクセスできます。ただし、ネットワーク設定やセキュリティポリシーによっては、IT部門との調整が必要になる場合があります。

Q9: 複数の部門で別々のエージェントを作成できますか？

A: はい、可能です。各部門が独自のエージェントを作成・管理することができます。Power Platform環境を部門ごとに分けることで、データやエージェントを完全に分離することも可能です。また、共通のナレッジを複数のエージェントで共有することもできます。

Q10: モバイルデバイスでも使えますか？

A: はい、モバイル対応しています。Teamsアプリ経由で利用する場合は、iOS/AndroidのTeamsアプリで利用可能です。Webサイトに埋め込む場合も、レスポンシブデザインに対応しており、スマートフォンやタブレットで快適に利用できます。